鍼治療
鍼治療とは
私たちの体内には内臓があり、それが正常に機能することによって自律神経のバランスを保ち、自然治癒力などを発揮しています。しかし食事や習慣、精神面などさまざまな要因が内臓機能に悪影響を与え、それによって内臓機能の働きのバランスが崩れてしまうと、本来の自然治癒力が活かされなくなってしまいます。
その状態が続くことで疲労が蓄積され、さまざまなつらい症状が出てしまいます。 たとえその症状が治まったとしても、原因となっている内臓機能のバランスの崩れが改善されているとは言えせん。原因を追究し、その原因を取りのぞけるよう根本から体質を改善させなければ、繰り返し同じ症状が出てしまいます。
鍼治療とは、『鍼を使用した物理的療法』のことをいいます。人間の体は、異物が入るとそれを排出しようとして防衛反応を起こします。鍼を使用して体に物理的な刺激を与えた場合にも、体が鍼を異物と判断して反応します。この仕組みを利用して根本から体質を改善させるために行なうのが、『鍼治療』です。
鍼治療の方法
鍼治療を経験されたことのない方は、「痛そう」と不安に思われるのではないでしょうか。しかし、基本的に痛いものではありません。治療では、とても細いステンレス鍼(長さ約40〜80mm、太さ直径0.17〜0.33mm)を使用します。これは髪の毛ほどの太さしかなく、刺すときに金属または合成樹脂製の『鍼管』という筒状の管を使うので、無痛で治療を受けることができます。
また、ステンレス鍼は弾力があり、折れる心配がありません。さらに完全滅菌のものを使用しているので、安全・安心に治療を受けていただくことができます。
鍼治療の種類
・単刺…鍼を刺し、刺激した後すぐに抜く方法
・置鍼…鍼を刺し、10〜15分程度そのままにしておく方法
・パルス鍼…鍼を刺し、その鍼に微弱な低周波パルス通電をします。筋肉の深部を電気で刺激することで筋肉に蓄積した疲労物質を拡散し、こりや疲労の除去、血行の促進へとつながります。
鍼治療の効果と症状の改善
鍼治療を受けると1度で症状が改善する方もいらっしゃいますが、基本的には急速に症状を改善するような治療は行ないません。体に負担をかけないよう、少しずつ効果が発揮されるように治療します。
鍼治療に即効性を求める方は、すぐに効果を感じられないため、「まったく効かない」「自分には合わない」と思われるかもしれません。
適用症状
一般的に、鍼治療といえば肩こり、腰痛、神経痛くらいにしか効果がないように思われがちですが、じつはさまざまな症状の改善に効果があります。
鍼治療は、日本ではまだ本格的に認められていませんが、その効果が国際的に少しずつ認められていています。『WHO』(世界保健機関)では、以下の症状において鍼治療の有効性を認め、適応症例として認定しています
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神経系疾患
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神経痛※・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
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運動器系疾患
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関節炎・リウマチ※・頚肩腕症候群※・頚椎捻挫後遺症※・五十肩※・腱鞘炎・腰痛※・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)
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循環器系疾患
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心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
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呼吸器系疾患
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気管支炎・喘息・風邪および予防
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消化器系疾患
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胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
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代謝内分秘系疾患
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バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血
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生殖、泌尿器系疾患
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膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
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婦人科系疾患
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更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊
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耳鼻咽喉科系疾患
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中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
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眼科系疾患
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眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
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小児科疾患
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小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善
※鍼治療は保険適用外ですが、神経痛、リウマチ、頚肩腕症候群、頚椎捻挫後遺症、五十肩、腰痛の治療ついては、保険が適用されます。
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お灸
お灸とはよもぎの葉から作られる「もぐさ」を使うのが一般的とされています。
症状によってはお灸の方が効果が期待でき、痛みが解消するという人もいます。
お灸の効果は、温熱刺激で体を温め、体の中の気や血液の流れを良くして、酸素やエネルギー源を運ぶ働きを活発にすることで、自然治癒力を高めることにあります。
体の冷えが気になる人や関節痛や筋肉のこりがある人、生理痛や膀胱炎、自律神経失調症といった症状に効果があり、婦人科系の疾患や逆子の治療、不妊症や安産にも効果的ともいわれています。